ノーフューチャー

いかに私が駄目な女であるかについて、こないだすべてを友人に吐露してしまったので、こうなったらとことんかっこ悪いことを書く。

おそるおそる、しかしどきどきしながら後輩の部屋に潜入した。本棚にずらりと並んだガンダムのフィギュア、ジャパネットたかたで購入した大型テレビ、プリクラがべたべたと貼られた冷蔵庫、流しに積み重なるインスタントラーメンの残骸、彼女が選んだと思われるキャラクターもののティッシュカバー、壁にきれいにかけられたスーツ、赤のセミダブルベッド、実家臭漂う柄の毛布、きれいにコロコロがかけられたふかふかのラグマット、トイレに飾られたタイ旅行の写真、洗面所に置かれた女物の整髪料、ラックに並ぶヒップホップな洋楽CD、テーブルの上に散乱する電気やガスの領収書、青いパッケージのたばことライター。

ひとつひとつが後輩を形作っていた。ここは、私なんかが訪れていい場所ではないと分かっていた。その場所に自分がいることがとても現実とは思えなくて、くらくらした。ここに来ることはもう二度とない気がして、目に映るすべてを、足に伝わるタイルの冷たさまで、記憶した。

翌日、後輩は何事もなかったように仕事をしていた。私も何かを埋めるように仕事に没頭した。見ないふりをするのが、どんどんうまくなっていく。