体がSOSを発している。24年間、健康体だと信じて疑っていなかったこの体に異常が見られる、というその事実がショックだった。えみが病院を調べてくれた。仕事帰り、バスで病院に向かっている間、不安で不安で、窓からみえる景色は自分の住んでる街のものなのに、ひとり遠くに来たみたいに落ち着かなかった。病院はすごく混んでて、でも清潔で受付の人が親切だった。それでも自分の番を待っている1時間半、油断すると泣いてしまいそうで、近くの本屋で時間をつぶした。何故か手に取った本が、太宰治の「人間失格」。精神状態を反映してるよなあ。病院の待合室で人間失格読んでる女ってのもシュールだ。太宰に比べたら私の人生の何て呑気なこと、と自分を励ます。

待たされた割に、診察は5分で終了。ストレスとかアレルギーとか要因は色々あるみたいだが、はっきりとした原因はわからんらしい。免疫力が低下してるとかで、とりあえず薬をもらって帰る。バスの中で人目もはばからず先生からもらったパンフレットを熟読。なんか意味もなく泣けた。

両親に電話で現状を報告。母親に「あんたは弱いから。誰も助けてはくれないのだから、もっと強くなりなさい」と言われる。精一杯の励ましのつもりだろうが、病人には逆効果。おもいっきり傷付く。その日は泣きながら寝た。もう、しばらく親とは話をしない。

彼氏には体調のことは言わなかった。言ってもしょうがないしなあ、と思っている自分がいて、そのことがなんか悲しかった。何も知らない彼氏に会ったら普通に笑顔で「ひさしぶりー」とか言われて、なんか辛かった。ごめん、て思った。

警察官とコンパをした。ほとんどが21とか22とかで、年下なのにためぐちだった。そういう小さなことが目に付いてしまう自分内縦社会。隣に座った自分の話しかしない男に「今度遊びにいこう」ってしつこく言われて、めんどくさー!と心の底から思った。適当にはぐらかしてたら「つーか彼氏いるの?」と聞かれて、さらにめんどくさー!!ってことになった。彼氏の有無じゃなくて自分自身の問題だって思わないのかなー男って。すてきな人だったら彼氏がいても遊ぶよ私は(最低)。

コンパ後、彼氏の家に行ったら、彼氏が「男と会ってたでしょ」と笑って言うので動揺した。きっと私のことを1mmも疑っていないであろうこの人の笑顔を、辛くて直視できなかった。自分の感情の前にはモラルも何もなくて、浮気なんか平気でしちゃうんだろうな私、と思っていたけど、案外人間の心を持っていたようである。能天気にテレビをみて笑う彼氏が「あー俺土曜の夜って一番好きー」と言い、「私も一番好きー」とふたりで笑った。やたらと機嫌がいい私に「なに?酔ってるの?」と彼氏は嬉しそうだった。ふたりとも笑ってるのに、心はこの場から遠くにあるみたいな感覚で、それを見ないふりしようとして、私はさらに陽気に振舞った。付き合い始めてから、初めて別れを意識した夜だった。

明日から仕事なのにやる気が出ない。ここまで退廃的な気分というのも初めてかもしれん。