君が思い出になる前に

なんでかわかんないけど夜道を歩いてたら泣きそうになった。閉店間近のドラッグストアからもれる光が歩道をてらしていた。それから、風にのって夏のにおいがした。ひさびさにぬったグロスがはちみつみたいにあまかった。あーこの感じだ、とおもった。


3連休、海遊館とそれから京都に行った。京都は雨はふるわあほみたいに人多いわで全然楽しくなかったけど、海遊館はとてもよろしかった。そう、気がつけば大阪にきて6年になるというのに初めての海遊館であった。天保山にむかう車内で、なんの魚がすき?と聞かれたので、ほんとはマンタが楽しみであったのだが女子の回答としてふさわしくないと思い、マンタをひとまわり小さくした風貌の「エイ」と答えてさらに失敗した。エイという響きからして全くかわいくない。案の定エイかよ・・・とがっかりされた。ふたりでマンタをみた。かっこよかった。水族館の魚たちは水中を泳いでいるんじゃなくて、宙を漂っているみたいだった。水槽の外でさわぐ私たちには目もくれず、ただゆらゆらと漂っていた。

夏はいろんなことを思い出させるから、あたらしい思い出でぬりつぶしていかなきゃならない。そのために私はこの人をえらんだ。ずるいかもしれないけど、あの辛さから逃れるためなら私は手段をえらばんのだ。そう、わたしはそういう女だってことだ。