それでも人生は続いてく

「バベル」をみる。ひとり。アローン。夜9時半の回。さみしすぎると言われようがひとり映画館ってすごくすきだ。あのさみしい感じがたまらん。思ったより早く着いてしまったので、ずっと愛ポッドでスーパーカーをきいてた。スーパーカーってひとりできくのに最適。しずかにぐんぐんテンションあがる。

バベルについて。もーコレがひとりで見るのに似つかわしすぎる重さだったので(しかも長い)、見終えたあとぐったりしました。きくちりんこせつなすぎーる。アカデミーノミネートもうなずけーる。何気に体はった演技なんですが、そんな下世話な目線をふっとばしてしまうくらいの重い役どころ。よくあるオムニバスもの(それぞれの人生が実はある共通点でつながっている)と言ってしまえばそれまでですが、この映画が単なるオムニバスで終わらないのは、それぞれの人生がそこで「終わり」じゃないってことをきちんと描いているからだとおもう。ハッピーエンドでも、サッドエンドでもない、彼らの人生はこれからも続いていくってこと。そこにどんな未来がまっていようとも、それでも人生は続いていく。そこにこの映画の重みがあると思う。賛否両論あるようですが、わたしはアリで。でもまー否の意見があるのもなんとなく分かるような気がします。あとは、若い刑事役のひとがかっこよかった(結局そういう見方)。

映画を見終えた帰り道、むしょうに誰かの声がききたくなって、ていうか彼の声がききたくなって、電話をかける。前回「連絡絶つ」って言ったばかりでこれなー。豆腐のようにもろい意志。ざわざわとした雑音と共に聞こえてくる声。「ごめん、いま電車。彼女んちにむかってるとこ」。わかった、ごめんね、ばいばい、と言って電話をきる。コンビニで明日の朝ごはんを買って帰る深夜0時。

家に着くと、彼からメールがきていた。最近の私を励ます内容。「最終的には自分で何とかするしかないと個人的には思うが」、「君の後ろには心配しとる人が間違いなくおる」。気付いたら声をあげて泣いていた。うれしいのかさみしいのか、自分でもよく分からなかったけど、とりあえず泣いた。「個人的には」とひとつ距離をとるところ、「うしろには俺がいる」ではなく「うしろで心配してる人がいる」という表現、冷たいんだか優しいんだかわからん励まし方が、ひどく彼らしいとおもった。そして、わたしはどうしようもなく、そんなこの人が好きだとおもった。彼女いようが遊んでようが報われないとわかってようが、好きなものはすきだ。それが良いとか悪いとか、そういうのは置いといて。そう認めてしまった途端、楽になった。そうか、そうだったのか。

それでも、人生は続く。良くも悪くも、明日はやってくる。