ゆれる [DVD]

ゆれる [DVD]

ひさしぶりに映画をみて傷付く。傷付く、ってのはこの場合褒め言葉。心に残る映画って、どこがどう良かったのか説明できないんだよなー。この感情を言葉をきちんと組み立てて説明できない。この映画はまさしくそれで、とにかく胸にぐさぐさきました。オダギリのジョーが女をたぶらかしよるダメ男なんですが、そのダメぷりに映画の冒頭でいきなり胸をやられてしまい、無駄に傷付く。真木よう子小日向しえYUIを足して2でわったような、まあどちらにせよ美人なんだけど、その真木よう子の人生をあきらめたような目、だめ男にのめりこんでしまうかんじ、でもっていったん手を出しておきながらも、なんだか面倒くさくなってしまい女を鬱陶しがる男、その描写が絶妙に切なくてしょうがない。香川照之に至っては、見ていて恐怖心を覚えるほどの演技力。この映画をみてから1週間ちかくたつのに、いまだにいろんなシーンがフラッシュバックして、そのたびに心臓をぐさりとやられて、そのたびに理由を解析している。心にささった無数のトゲを、ひとつひとつピンセットで抜いていく作業みたいだな、と思う。


やたら評判のよかったコレ。ざっとあらすじを聞いただけで、だいたいの流れが読めてしまうベタ感動映画なんですが、まーその予想を裏切らない見事なまでのベタぷり。基本的な流れとしては、反発→和解→危機→解決→感動、みたいなことで間違いない。ただ、そのベタさ加減がたまらなく涙を誘う。料理にたとえるなら、鍋。新しさも計算も無し、具材を切って投入するだけなのにハズレなく美味しい。ぐつぐつ煮てたら予想以上においしくなっちゃったみたいな偶発的な感じはあるけど、見て損はなし。あと、蒼井優の存在感ってやっぱすごいなと。でもあれだなー、わたしこの映画みてもっとわんわん泣けるはずなのになー。感動シーンを冷静に分析している自分がちょっと嫌だった。

わたしは、救われない話に救いを求めてるのかもしれん。