煩悩

こどもがほしい。ゆるがない幸せが、欲しい。子供=幸せ、っていう視野の狭さが私の知性の低さを露呈していますが、本能で生きるよしえとしては、好きなひとの子供を産めるなんて至上の歓びではないかと錯覚もしてしまうわけですよ。

という話を仕事中に同じ課の同期にしたら、本気で怒られた。彼はいまどきめずらしいド硬派な男なので、わたしがこういう馬鹿なことを言うと、懇切丁寧に怒ってくれる。あなたの意見はなんて即物的なんだと。俺は性的活動を営むとき、常に命がけなんやと。ありとあらゆる可能性を想定し理解した上で挑んでるんやと。硬派すぎて少々行き過ぎている感はありますが、でも、彼に怒られるとちょっと安心する。まだだいじょうぶ、って思える。

師走も師走、御用納めの日にノロに死した。妹も帰省した2DKのアパートの一室で1人ノロと戦ってた。39度強の熱が出てるのに、冷水に浸かってるんじゃないかと思うほど寒くて、出るものが何もない体でひたすら吐きまくった。病院の帰りに買ったポカリの1.5ℓのペットポトルが死ぬほど重かった。こうやって、ひとりで生きていくんだと思った。

そんなとき、硬派な彼がどっさり水分と食料を買ってやってきた。ぼろぼろな姿を見られたくないだろうから、と気遣って同期の女の子に荷物を託して。泣けた。冷蔵庫にポカリやらアイスやら冷凍うどんやらを詰めながら、泣いた。

心配してくれる人がいる、それだけで人間は生きていけるんだと。

熱が下がってきた。もう大丈夫だとおもう。