すきなひとが風邪をひいたとの一報を受け、ポカリやらおかゆやら冷えピタやらを買い込んで、自転車で20分。玄関先で咳込む好きな人の姿を前に、39度ちかく発熱していてもひげがはえてても上下らくちんスウェットでも、ああ、やっぱりすきだなあ、と不謹慎にも、そんなことをおもっていた。正月用に用意していた自分ちのみかんをつめた袋を胸にぐいっとおしやり「ビタミンC取れよ!」を捨て台詞に、また20分、自転車をこいで帰った。夜の風がつめたかった。後刻、あのみかん腐ってたよ、と報告を受けてがっくりきたけど、「おまえらしいよなあ」と楽しそうに笑う声に少し救わわれる。うん、わたしもそうおもう。

今年はやめるからあずかっといて、って渡されたタバコの箱とライターがわたしの部屋の片隅にそっとあって、いつ見てもじっとそこにあって、なんかそのたばこをうれしいようなせつないような気持ちで眺めているわたしは「ゆれる」にでてくる真木よう子みたいだなあとおもう。でも、残念なことに、わたしはあんなに素敵なお顔立ちと素敵なボディを持ち合わせていない。

今日、元気に出勤した好きな人のパリッとしたスーツ姿を見て、げんきになってよかったなっておもった。ほんとに心からそうおもった。