同じ夜

今日はひさびさの残業であった。デスクワークではなく体力系の仕事であったために、ヒールで走り回ることになった。といっても、力のない女子供にできる仕事は限られているため、わたしのしたことといえば、埃をかぶったあちこちを汚い雑巾で拭いてまわったことくらいであろう。その一方で男たちは、てきぱきというよりもバキバキとかゴウゴウとかいう擬音がしっくりくるような豪快な働きぶりであった。あの彼らの働きこそが、労働ってやつだなと思った。

とある会社のとある部署、小さな宇宙の中で、私だけが無意味な存在であった。

忙しく走り回る男性社員を眺めながら、存在意義というものについて考えたりした。

会社を出るとすっかり真っ暗で、帰り道は夜のにおいがした。胸がざわざわするにおい。意味もなくベランダで長電話した日のことを思い出した。あしたも仕事。