ともだちに好きな人のことを話すと、みんなの「そんなやつ早く忘れちゃえばいいのに」っていう慈愛に満ちた表情がくるしいから、じぶんの正直なきもちを話すのがこわい。帰りの電車の中で友のやさしくもきびしい言葉を反芻しては、もれなくへこんでいる。わたしには、みんなにわかってもらえなくてもいい!ってほどの強さがない。ほんとうは、いつかは、みんなに、よかったねっていわれたい。すきなひとの話をするのがこわい恋をしてるなんて、かなしい。

風邪をひいた。熱でふらふらとする体をひきずって出社したけど、ぜんぜん食欲なくてお昼も喉を通らなかった。机につっぷして水ばっかりごくごく飲んでたら、すきなひとがチョコレートをくれた。わたしがまいにち3時のおやつに売店で買ってるチョコレート。何か食べなきゃだめだよ、ってそれだけ言って去った。すきなひとが売店でわたしのためにチョコレートを買ってる姿を想像した。そのイメージ図だけで、なんかそれだけで、がんばれる気がした。